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【初心者向け】生活保護の引っ越し費用はいくらまで支給される?具体的な条件と手続きをステップで解説

生活保護を受けている中で、大家さんからの退去要求や病気など、やむを得ない事情で引っ越しを考えなければならない状況になることがあります。

しかし、その際に一番の不安となるのが、敷金や礼金、仲介手数料といった高額な引っ越し費用ではないでしょうか。「費用は出してもらえるの?」「自己負担はどれくらい?」など、疑問は尽きないはずです。

この記事では、生活保護を受給している方が引っ越しをする際に、費用がいくらまで支給されるのか、どのような条件を満たせば支給対象になるのか、そして具体的な申請手順について、「住宅一時扶助」などの専門用語も一つひとつ丁寧に解説します。

この記事を最後まで読めば、引っ越しに関する不安が解消され、安心して準備を進めるための知識が身につき、具体的な行動に移せるようになります。

目次

結論として生活保護の引っ越し費用は条件を満たせば支給されます

まず最も知りたい結論からお伝えします。

生活保護を受けている方の引っ越し費用は、あなたがお住まいの地域を管轄する福祉事務所が「その引っ越しは必要だ」と認めた場合に限り、一定の上限額まで支給されます。

これは「住宅一時扶助」という制度によるもので、新しい生活を始めるための大切な支援です。

ここでは、その基本的な考え方と、あなたが対象になる可能性について解説します。

生活保護制度における引っ越し費用の支給は住宅一時扶助と呼ばれます

生活保護制度には、日々の生活費を支える「生活扶助」や家賃を補助する「住宅扶助」など、目的別に8種類の扶助があります。

その中で、引っ越しにかかる初期費用、具体的には敷金、礼金、仲介手数料、火災保険料、保証料、そして引越運送費用などを一時金として支給してくれるのが「住宅一時扶助」です。

この制度があるおかげで、経済的な理由で劣悪な住環境から抜け出せないといった事態を防ぎ、憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を再建する手助けをしてくれます。

したがって、あなたが引っ越しを考えるとき、この住宅一時扶助という制度が強力な味方になることをまず覚えておいてください。

引っ越し費用の支給を受けるには福祉事務所の承認が絶対条件となります

ここで最も重要なことをお伝えします。

引っ越し費用は、あなたが「引っ越したい」と思っただけでは自動的に支給されるわけではありません。

必ず、現在お住まいの地域を管轄する福祉事務所の担当者(ケースワーカー)に相談し、「引っ越しが必要である」という承認を得る必要があります。

もし、自己判断で先に物件の契約を進めたり、引っ越しを済ませてしまったりすると、後から申請しても費用が1円も支給されないという最悪のケースも考えられます。

そのため、引っ越しを考え始めたら、まず最初にケースワーカーへ相談することが、支給を受けるための第一歩であり、最も重要なプロセスになります。

支給される金額は住む地域や世帯の人数によって上限が異なります

支給される引っ越し費用の金額は、全国どこでも同じではありません。

家賃相場が地域によって大きく異なるため、厚生労働省が定める「級地」という制度に基づき、地域の物価や家賃相場に応じた区分がされています。

この「級地」や、単身世帯か二人世帯かといった世帯人数によって、支給される上限額が細かく設定されています。

例えば、東京23区のような都心部と地方の都市では、支給される上限額に大きな差があります。

自分の住みたい地域ではいくらまで支給されるのかを事前に把握しておくことが、予算内で物件探しをスムーズに進める上で非常に重要になります。

具体的な金額については、後の章で詳しく解説します。

生活保護で引っ越し費用が支給されるための具体的な条件とは何か

では、どのような場合に福祉事務所は引っ越しを「必要」と判断し、費用を支給してくれるのでしょうか。

ここが最も気になるポイントだと思います。

基本的には、本人の希望やより良い生活を求める「自己都合」と見なされると支給は難しくなりますが、生活や健康を守るためにやむを得ない正当な理由があれば認められます。

この章では、引っ越し費用が支給される具体的な条件や事例について詳しく見ていきましょう。

引っ越し費用が支給されやすい正当な理由の例

  • 大家や管理会社から正当な理由で退去を求められた
  • 現在の家賃が住宅扶助の基準額を超えており、行政指導を受けた
  • 就職や転勤で通勤が著しく困難になった
  • 病気や障害により現在の住環境での生活が困難になった
  • DV(ドメスティックバイオレンス)やストーカー被害から避難する必要がある
  • 入院や施設を退所するにあたり、住居を確保する必要がある

大家さんから退去を求められた場合や立ち退き要求があった場合の条件

現在住んでいるアパートやマンションの大家さんから、正当な理由で退去を求められた場合は、引っ越し費用の支給対象となる可能性が非常に高いです。

例えば、建物の老朽化による取り壊しや、大規模なリフォーム、大家さん自身がその物件を使用する必要が出てきた、といったケースがこれにあたります。

この場合、退去を求められている事実を証明する書類、例えば大家さんや管理会社が発行した「退去通知書」などをケースワーカーに提示することで、スムーズに話を進めることができます。

ただし、家賃滞納や騒音トラブル、ペット飼育不可物件での無断飼育など、あなた自身に契約違反の非がある場合は、原則として支給対象外となるため注意が必要です。

現在の住居の家賃が生活保護の住宅扶助基準を超えている場合の条件

生活保護の家賃補助である「住宅扶助」には、お住まいの地域や世帯人数に応じた上限額が定められています。

もし、現在住んでいる物件の家賃がこの基準額を上回っている場合、福祉事務所から「家賃が基準額内に収まる物件へ引っ越すように」と行政指導を受けることがあります。

これは、より安定的で継続可能な生活を送るために必要な措置と判断されるため、この行政指導に従って引っ越す場合は、当然ながら引っ越し費用は支給対象となります。

勤務先の変更で通勤が著しく困難になった場合の引っ越し条件

就職が決まったり、会社の都合で勤務地が遠方に変更になったりして、現在の住居からの通勤が社会通念上、著しく困難だと判断される場合も、引っ越し費用が支給されることがあります。

「著しく困難」とは、例えば毎日の通勤に電車やバスを乗り継いで往復で4時間以上かかるようなケースで、健康的な生活や就労の継続が難しいと見なされる場合です。

これは生活保護からの自立を助けるための引っ越し(自立助長)と見なされるため、必要性が認められやすいです。

ただし、この判断はケースワーカーに委ねられるため、会社の辞令や雇用契約書など、勤務地の変更や就職を証明する書類を用意して具体的に相談することが重要です。

病気や身体の障害により現在の住環境が適さなくなった場合の条件

病気の治療や身体の障害が理由で、現在の住環境での生活が困難になった場合も、引っ越しの必要性が認められます。

例えば、以下のようなケースが該当します。

  • 足の障害で階段のあるアパートの上階に住むのが困難になり、エレベーターのある物件や1階の部屋へ移る必要がある場合
  • 医師から、現在の住環境が病状(アレルギーや精神疾患など)に悪影響を与えているため、転地療養(転居)を勧められた場合

この場合は、医師の診断書や意見書を提出することで、引っ越しの必要性を客観的に証明することができます。

特に診断書に「転居を要する」といった一文を記載してもらうと、承認が格段にスムーズになります。

引っ越し費用として支給されるお金の具体的な内訳と対象範囲

「引っ越し費用」と一言で言っても、その内訳は様々です。

敷金や礼金、仲介手数料など、具体的にどの項目が支給対象になるのかを正確に知っておくことは、物件探しや不動産会社との交渉において非常に重要です。

ここでは、住宅一時扶助でカバーされる費用の内訳について詳しく解説します。

費用の種類 内容と目安
敷金 家賃滞納時などの担保として大家に預けるお金。家賃の1~2ヶ月分が上限。
礼金 大家へのお礼として支払うお金。家賃の1ヶ月分が上限。
仲介手数料 物件を紹介してくれた不動産会社に支払う手数料。家賃の1ヶ月分+消費税が上限。
家賃保証料 連帯保証人がいない場合に利用する保証会社への費用。家賃の0.5~1ヶ月分程度。
火災保険料 火事や水漏れに備える保険。1~2万円程度。
鍵交換費用 防犯のために鍵を交換する費用。1.5~2.5万円程度。
引越運送費 荷物を運ぶための引越し業者への支払い。荷物量や距離による。

新しい住まいの契約に必要な敷金や礼金はいくらまで支給されるのか

新しい物件を契約する際に必要となる敷金(家賃滞納などに備える保証金)や礼金(大家さんへのお礼金)は、住宅一時扶助の支給対象となります。

ただし、無制限に支給されるわけではなく、原則としてそれぞれ家賃の1ヶ月分が上限となる場合が多いです。

地域によっては敷金2ヶ月分まで認められるなど、自治体のルールによって差があるため確認が必要です。

物件を探す際には、不動産情報サイトの「SUUMO」や「LIFULL HOME’S」などで、敷金や礼金が法外に高くないか、初期費用の内訳をよく確認しましょう。

不動産会社に支払う仲介手数料や保証料も支給の対象になります

物件を紹介してくれた不動産会社に支払う仲介手数料も、支給の対象です。

これも通常は家賃の1ヶ月分に消費税を加えた額が上限となります。

また、連帯保証人がいない場合に利用が必須となることが多い家賃保証会社との契約金、いわゆる保証料も支給対象に含まれるのが一般的です。

これらの費用は物件契約に不可欠なものと見なされるため、住宅一時扶助で賄うことができます。

契約前に必ず見積もりを取得し、どの費用がいくらかかるのかを明確にして福祉事務所に提出しましょう。

入居時に必須となる火災保険料や鍵の交換費用について

多くの賃貸物件で加入が義務付けられている火災保険料も、住宅一時扶助の対象です。

通常は1年から2年契約で1万円から2万円程度のものが多く、これも必要な経費として認められます。

また、前の入居者から安全性を確保するために必要な鍵の交換費用も、支給対象となる場合があります。

ただし、自治体によっては「鍵交換費用は対象外」としているケースもあるため、これらの細かい費用については事前にケースワーカーに確認しておくことが賢明です。

地域や世帯構成で決まる生活保護の引っ越し費用の上限額

引っ越し費用の支給額には上限があることをお伝えしましたが、その具体的な金額はいくらなのでしょうか。

この上限額は、新しい住まいの家賃の上限を決める「住宅扶助」の基準額と密接に関連しています。

ここでは、お住まいの地域や世帯の人数によって、いくらまで費用が支給されるのかを解説します。

住宅扶助の基準額が引っ越し費用の上限額の目安になります

引っ越しの一時金として支給される「住宅一時扶助」の金額の上限は、基本的に「住宅扶助基準額(家賃上限)の数ヶ月分」という形で計算されます。

具体的には、敷金・礼金・仲介手数料などを合計した額が、その地域で定められている住宅扶助の月額上限のおよそ3.9倍程度に収まるように指導されることが一般的です。

例えば、住宅扶助の上限額が月額5万円の地域であれば、引っ越しの初期費用総額は5万円 × 3.9 = 19万5,000円程度が上限の目安となります。

この上限額は、新しく住む物件の家賃を決める上でも、初期費用を計算する上でも非常に重要な基準となります。

東京都23区内など都市部における引っ越し費用の支給上限額の例

具体的な例を挙げてみましょう。

例えば、日本で最も家賃相場が高いとされる東京都の特別区(23区)の場合、単身世帯の住宅扶助の基準額は原則として月額53,700円です。

この場合、敷金、礼金、仲介手数料などを合わせた引っ越しの初期費用(住宅一時扶助)の上限額は、その約3.9倍である209,430円程度が目安となります。

この金額の範囲内で、敷金、礼金、仲介手数料、保証料、火災保険料などをすべて賄う必要があります。

地方都市や郡部における引っ越し費用の支給上限額の例

一方で、地方都市や郡部では家賃相場が低くなるため、住宅扶助の基準額もそれに合わせて低く設定されています。

例えば、地方の中核市で単身世帯の住宅扶助の基準額が月額40,000円だったとします。

この場合、引っ越しの初期費用の上限額は、その約3.9倍である156,000円程度が目安となります。

このように、自分が引っ越したいと考えている地域の住宅扶助基準額と住宅一時扶助の上限額を、物件を探し始める前に必ず福祉事務所に確認することが、予算内で物件を探すための絶対条件です。

生活保護の引っ越し費用が支給されないケースと注意すべき条件

残念ながら、すべての引っ越しが認められるわけではありません。

場合によっては、引っ越しの必要性が低いと判断されたり、手続きの順序を間違えたりすることで、費用が支給されないこともあります。

ここでは、支給が認められない代表的なケースと、あなたが絶対に注意すべき点について解説します。

支給NG!こんな引っ越しは認められない

以下のような理由は、原則として引っ越し費用(住宅一時扶助)の支給対象にはなりません。

  • 「もっと広い部屋に住みたい」「日当たりが良い部屋に移りたい」
  • 「もっと駅に近い便利な場所に住みたい」
  • 「近所付き合いがうまくいかないから」
  • 「ペットを飼える物件に引っ越したい」
  • ケースワーカーに無断で契約してしまった(事後申請)

自己都合と判断される引っ越し理由は原則として支給対象外です

福祉事務所が最も慎重に判断するのが「自己都合」による引っ越しです。

例えば、「もっと広い部屋に住みたい」「日当たりが良い部屋に移りたい」「近所付き合いがうまくいかない」といった理由は、生活に直接困窮しているとは見なされず、原則として支給対象外となります。

生活保護制度は、あくまで健康で文化的な「最低限度」の生活を保障するためのものであり、個人の希望やより良い生活を求めるための引っ越し費用を賄うものではない、という点を理解しておく必要があります。

ケースワーカーへの事前相談なしに契約を進めた場合のペナルティ

繰り返しになりますが、これが最も注意すべき点であり、絶対にやってはいけないことです。

引っ越したいという気持ちが先行して、ケースワーカーに相談する前に物件の賃貸契約を進めてしまったり、引っ越し業者と契約してしまったりした場合、その費用は一切支給されません。

これは「事後申請」と呼ばれ、福祉事務所は承認していない支出に対して公金である保護費を出すことはできないからです。

どんなに正当な理由があったとしても、順番を間違えただけで全額自己負担になってしまいます。

必ず、どんな理由であれ、引っ越しを考え始めたら「まずケースワーカーに相談する」という鉄則を守ってください。

同一の福祉事務所の管轄内で再度引っ越しをする場合の条件

一度、住宅一時扶助を利用して引っ越した後、短期間で同じ福祉事務所の管轄内で再度引っ越しを希望する場合、その審査は非常に厳しくなります。

住宅一時扶助の利用は、原則として1回限りという考え方が基本です。

よほど正当な理由、例えば急な立ち退き要求や、ドメスティックバイオレンスから逃れるためなど、生命や身体の安全に関わるような切迫した事情がない限りは認められない可能性が高いです。

頻繁な引っ越しは生活の安定を損なうと判断されるため、一度決めた住居には、できるだけ長く住み続けることが前提となります。

ステップ解説でよくわかる生活保護の引っ越し費用を支給してもらうための具体的な申請手順

さて、ここからは実際に引っ越し費用を支給してもらうための具体的な手順を、分かりやすくステップ形式で解説していきます。

この流れを頭に入れておけば、次に何をすべきかが明確になり、スムーズに手続きを進めることができます。

一つ一つのステップを確実に実行していきましょう。

  1. ステップ1:担当のケースワーカーに引っ越しの必要性を相談する
    全ての始まりはここからです。まずは担当のケースワーカーに電話をするか、面談のアポイントを取り、なぜ引っ越しをしたいのか、その理由を具体的に説明します。この時、感情的に訴えるのではなく、退去通知書や医師の診断書など、引っ越しの必要性を客観的に証明できる書類があれば用意しておきましょう。ケースワーカーがあなたの状況を理解し、「引っ越しはやむを得ない」と判断してくれれば、次のステップに進むための許可が出ます。
  2. ステップ2:不動産会社を訪問し複数の物件の見積もりを取得する
    ケースワーカーから引っ越しの許可が出たら、次は物件探しです。福祉事務所から、生活保護受給者の受け入れに理解のある不動産会社を紹介してもらえることもあります。複数の不動産会社を訪問し、住宅扶助の基準額内に収まる家賃の物件を探しましょう。そして、気に入った物件がいくつか見つかったら、それぞれの初期費用の見積書を作成してもらいます。この時、「生活保護の申請に使うため」と伝えれば、不動産会社も協力的に対応してくれるはずです。不正を防ぐため、最低でも2社から3社程度の見積もりを集めるように指示されることが一般的です。
  3. ステップ3:取得した見積もりを福祉事務所に提出し入居先の審査を受ける
    集めた複数の見積書を福祉事務所に持参し、ケースワーカーに提出します。ケースワーカーは、その物件の家賃が基準額内か、立地や間取りが世帯状況に対して適切か、初期費用が一時扶助の上限額を超えていないかなどを審査します。ここで注意したいのは、まだ正式な契約は絶対にしないことです。福祉事務所からの「この物件で良いですよ」という承認、つまり「決定通知」が出るのを待つ必要があります。
  4. ステップ4:福祉事務所の承認後に物件の契約と引っ越し業者の手配を行う
    福祉事務所から無事に承認が下りたら、いよいよ正式な手続きに入ります。まずは承認された物件について、不動産会社と賃貸借契約を結びます。同時に、引っ越し業者の選定も進めます。引っ越し業者も、複数社から見積もりを取り、最も安い業者を選ぶように指導されることがほとんどです。大手である「サカイ引越センター」や「アート引越センター」だけでなく、地域密着型の安い業者を探すのも良いでしょう。引っ越し費用の見積もりも福祉事務所に提出し、承認を得る必要があります。
  5. ステップ5:支給決定後に費用が支払われ引っ越しを実行する
    物件の契約費用と引っ越し業者の費用、両方の見積もりが承認されると、福祉事務所から「住宅一時扶助」と「移送費(引越運送費)」の支給が決定されます。費用の支払われ方は自治体によって異なり、あなたの口座に一度振り込まれてから自分で支払う場合と、福祉事務所から直接業者へ支払いが行われる場合があります。この点はケースワーカーの指示に従ってください。費用が支払われたら、計画通りに引っ越しを実行します。

引っ越し業者を選ぶ際の注意点と費用を賢く抑えるためのポイント

引っ越し費用の中でも、運送業者に支払う費用は大きな割合を占めます。

この費用をいかに抑えるかが、支給される上限額の中に全ての費用を収めるための鍵となります。

ここでは、引っ越し業者を選ぶ際の注意点と、費用を少しでも安くするための具体的なコツを紹介します。

必ず複数社から見積もりを取得して料金を比較検討することが重要です

引っ越し業者の費用は、会社によって大きく異なります。

また、時期や曜日によっても料金は変動するため、必ず3社以上の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行いましょう。

これは福祉事務所からも、最も安い業者を選ぶように必ず指導されます。

インターネットの「引越し侍」や「LIFULL引越し」といった一括見積もりサイトを利用すると、一度の入力で複数の業者から見積もりを取ることができて非常に便利です。

各社の料金とサービス内容を比較し、最も条件の良い業者を選びましょう。

荷物の量を減らすことで引っ越し費用を大幅に節約できます

引っ越し料金は、基本的に荷物の量(=トラックの大きさ)と移動距離で決まります。

つまり、運んでもらう荷物の量を減らせば、料金は安くなります。

引っ越しを機に、不要な家具や衣類などを思い切って処分することを検討しましょう。

自治体の粗大ごみ収集を利用したり、リサイクルショップに買い取ってもらったりする方法があります。

荷物が少なくなれば、より小さなトラックで運ぶことができ、作業時間も短縮されるため、結果的に費用を大きく抑えることにつながります。

引っ越しの時期を繁忙期からずらすだけで料金は安くなります

3月から4月にかけての年度末や、9月の転勤シーズンは、引っ越しの依頼が集中する「繁忙期」です。

この時期は料金が通常期の1.5倍から2倍近くに高騰することがあります。

もし可能であれば、これらの繁忙期を避けて、5月や6月、あるいは11月や1月といった「通常期」に引っ越しを計画するだけで、料金は格段に安くなります。

また、土日祝日よりも平日のほうが料金は安く設定されていることが多いので、日程を調整できる場合は平日の引っ越しを検討しましょう。

引っ越し費用が支給の上限額を超えてしまった場合の賢い対処法

万全の準備をしていても、どうしても必要な費用が支給の上限額を少しだけ超えてしまう、というケースも考えられます。

そんな時、すぐに諦める必要はありません。

いくつかの対処法を知っておくことで、問題を解決できる可能性があります。

ここでは、費用が上限を超えてしまった場合の具体的な対処法について解説します。

まずは正直にケースワーカーへ相談し指示を仰ぐことが大切です

もし見積もりを取った結果、どうしても費用が上限額を超えてしまう場合は、隠さずに正直にケースワーカーへ相談しましょう。

「なぜその金額になってしまうのか」の理由を具体的に説明することが重要です。

例えば、「この地域では、上限額以下の初期費用の物件がどうしても見つからなかった」「保証会社の利用が必須の物件ばかりで、その費用が高額だった」など、客観的な事実を伝えます

ケースワーカーはあなたの生活を支えるパートナーです。

一人で抱え込まず、まずは相談することで、不動産会社と交渉してくれたり、別の解決策を提示してくれたりすることもあります。

不動産会社に初期費用を交渉して減額してもらうことは可能か

上限額をわずかに超えている場合、不動産会社に初期費用の交渉を試みる価値はあります。

例えば、「礼金を少しだけ下げてもらえませんか」とか「必須ではない安心サポートのようなオプションサービスを外してもらえませんか」といった交渉です。

生活保護の事情を説明し、誠意をもってお願いすることで、大家さんや管理会社が応じてくれるケースもゼロではありません。

特に、長く空室になっている物件などでは、交渉の余地があるかもしれません。

超過分を自己資金や親族からの援助で補うという選択肢

どうしても費用の減額が難しい場合、最終的な手段として、超過した分を自己資金で支払うという選択肢があります。

生活保護費の中から少しずつ貯めたお金(※)や、親族からの援助金で補う方法です。

ただし、この場合も必ずケースワーカーに報告と相談が必要です。

無断で自己資金を投入したり、親族から援助を受けたりすると、それが「収入」として認定されてしまい、その分保護費が減額されるなどの問題が生じる可能性があるためです。

あくまで最終手段として、福祉事務所の許可を得た上で行うようにしてください。

新居の初期費用以外にも生活保護で受けられる扶助の種類

引っ越しが無事に終わっても、新しい生活には色々な物入りです。

生活保護制度では、引っ越しの初期費用だけでなく、新生活を始めるにあたって最低限必要な家具や家電などを購入するための費用も支給される場合があります。

ここでは、知っておくと助かるその他の扶助について紹介します。

最低限の生活に必要な家具什器費が支給される場合があります

これは誰でも受けられるものではありませんが、特別な事情がある場合に限り、生活に最低限必要な家具や家電製品を購入するための「家具什器費」が支給されることがあります。

例えば、以下のようなケースが対象です。

  • 災害で家財をすべて失ってしまった場合
  • 長期間入院・入所しており、退院・退所後に住む家には家具が何もない場合
  • DVシェルターから退所して新しい生活を始める場合

寝具(布団)、調理器具(鍋や炊飯器)、暖房器具などが含まれます。

あくまで何もない状態から生活を始めなければならない人に向けた特別な扶助ですので、必要かどうかはケースワーカーが判断します。

冬場の暖房器具など季節に応じて支給される期末一時扶助

年末など、特にお金が必要になる時期に、一定の条件を満たす世帯に対して「期末一時扶助(年末一時金)」が支給されることがあります。

これは、年越しに必要な経費や、冬を越すための暖房費の補助といった目的で支給されるものです。

支給額や対象者は自治体によって異なりますが、このような支援があることも覚えておくと良いでしょう。

毎年必ず支給されるものではなく、自治体の判断によるため、お住まいの福祉事務所から案内があった場合は、忘れずに手続きを行いましょう。

病気の治療や通院に必要な医療費は医療扶助でカバーされます

生活保護を受けている場合、病気やけがの治療にかかる医療費は、自己負担なしで「医療扶助」から支払われます。

そのため、国民健康保険料を支払う必要もありません。

新しい土地に引っ越した後も、もちろんこの制度は継続されます。

新しい病院にかかる際は、事前に福祉事務所に申請して「医療券」を発行してもらい、それを病院の窓口に提出することで、診察や薬の処方を受けることができます。

健康面での金銭的な心配事をせずに生活できるのは、この制度の大きなメリットです。

まとめ:生活保護の引っ越し費用は条件を確認し計画的に進めよう

今回は、生活保護を受給している方が引っ越しをする際の費用について、支給の条件から上限額、具体的な申請手順まで詳しく解説してきました。

最後に、この記事の重要なポイントを改めて確認し、あなたの新しい生活への一歩を確実なものにしましょう。

引っ越し費用の支給を受けるには正当な理由と事前の相談が不可欠です

生活保護の引っ越し費用は、大家からの退去要求や病気、行政指導など、やむを得ない正当な理由がある場合に支給されます。

そして、最も重要なのは、自分で判断して行動する前に、必ず担当のケースワーカーに「事前に」相談することです。

この二つの条件をクリアすることが、費用支給の絶対条件となります。

自己都合と判断される理由では支給されないこと、事後申請は絶対に認められないことを肝に銘じておきましょう。

支給される費用の上限額を把握し計画的に物件探しを行うこと

支給される引っ越し費用には、お住まいの地域や世帯人数に応じた上限額があります。

この上限額は、新しい家の家賃を決める住宅扶助の基準額と連動しています。

事前に自分のケースではいくらまで支給されるのかをケースワーカーに確認し、その予算内で収まるように物件探しや引っ越し業者の選定を行うことが、スムーズな手続きの鍵です。

計画的に進めることで、追加の自己負担が発生するリスクを避けることができます。

分からないことは一人で悩まず福祉事務所のケースワーカーに質問する

この記事では詳細な手順や条件を解説しましたが、自治体によって細かなルールが異なる場合もあります。

手続きを進める中で少しでも疑問や不安に思うことがあれば、一人で悩まず、すぐに担当のケースワーカーに質問してください。

ケースワーカーはあなたの生活をサポートするための専門家です。

正確な情報を得て、一つ一つのステップを確実に踏んでいくことが、安心して新しい生活をスタートさせるための最も確実な方法です。

あなたの新しい一歩を心から応援しています。

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