引っ越しが決まると、やることが山積みで何から手をつけて良いか混乱してしまいますよね。
特に、大きくて重い冷蔵庫の移動は「電源って具体的に何時間前に切ればいいの?」「中身の食べ物はどうすれば…?」といった疑問や不安が尽きない、引っ越し作業の中でも特に気を使うポイントです。
もし準備や手順を間違えてしまうと、運搬中に溶けた霜の水が漏れ出して他の大切な家具や荷物を濡らしてしまったり、最悪の場合、冷蔵庫が故障して動かなくなってしまったりする悲劇も…。
この記事では、引っ越しが初めての方でも安心して作業できるよう、冷蔵庫の電源を「何時間前に切るべきか」という核心的な疑問への答えはもちろん、事前準備から新居での設置、そして再び電源を入れるまでの全手順を、具体的な事例を交えながら誰でも真似できるステップ形式で徹底的に解説していきます。
これを読めば、あなたはもう引っ越しの冷蔵庫作業で慌てることはありません。
結論として引っ越し時の冷蔵庫の電源は最低でも16時間前には切るのがベストです
早速、この記事で最もお伝えしたい重要な結論からお話しします。
引っ越しで冷蔵庫の電源を切るタイミングは、荷物を運び出す時間の「最低でも16時間前」、もし時間に余裕があるなら24時間前に切っておくと、トラブルの心配がほとんどなくなり非常に安心です。
なぜそんなに早くから準備が必要なのか、その具体的な理由や、ご家庭で使われている冷蔵庫の種類による違いについて、ここでは詳しく解説していきます。
この「時間」というポイントを知っておくだけで、引っ越し当日の余計な心配やトラブルを劇的に減らすことができます。
なぜ引っ越し前に冷蔵庫の電源を切る必要があるのか具体的な理由
引っ越し前に冷蔵庫の電源を切る最大の、そして絶対的な理由は「霜取り(しもとり)」を完了させるためです。
冷蔵庫や冷凍庫の内部には、空気を冷やすための「冷却器」という重要な部品があります。冷蔵庫が運転している間、この冷却器には空気中の水分が結露し、霜となって付着していきます。
この霜は電源を切ることで自然に溶けて水に変わりますが、見えない部分に付着した分厚い霜が完全に溶け切るまでには、想像以上に長い時間が必要です。
もし霜が溶け切らないまま冷蔵庫を運搬してしまうと、トラックの振動で溶け出した水が庫外に漏れ出し、冷蔵庫本体の電子部品をショートさせて故障させるだけでなく、他の家具や衣類が入った段ボールを濡らしてしまうという大惨事につながる可能性があります。
こうした悪夢のような水漏れトラブルを未然に防ぎ、大切な冷蔵庫を安全に運ぶために、事前の霜取り、つまり電源を十分に早く切る作業が絶対に欠かせないのです。
最低でも16時間前が推奨される霜取りにかかる時間の目安
では、なぜ「16時間」なのでしょうか。
一般的に、冷蔵庫の電源を完全に止めてから、庫内の霜が自然の力で溶けてなくなるまでの平均的な時間がおよそ15時間から16時間ほどかかると言われています。
特に冷凍庫の奥や、普段は見えない冷却器の周辺には、カチカチに凍った分厚い霜がびっしりと付いていることが多く、これを完全に溶かすには半日以上の時間を見込んでおくのが最も確実です。
具体的なスケジュールで考えてみましょう。
例えば、引っ越し業者が来るのが明日の午前10時の予定であれば、逆算して今日の夕方18時までには電源プラグを抜いておく、という計算になります。
もし時間に余裕があるのなら、前日の午前中や、前の日の夜寝る前に電源を切っておくと、さらに安心して当日の作業を進めることができるでしょう。
直冷式とファン式冷蔵庫で電源を切る時間に違いはあるのか解説
現在、日本の家庭で使われている冷蔵庫は、冷却方式によって主に「ファン式」と「直冷式」の2種類に分けられます。
- ファン式冷蔵庫:庫内に設置されたファンで冷気を強制的に循環させるタイプです。霜が付きにくいように自動で霜取りを行ってくれる機能が搭載されているのが大きな特徴で、現在の大型・中型冷蔵庫のほとんどがこの方式です。
- 直冷式冷蔵庫:冷却器が庫内に直接設置されており、その冷却器が壁面を直接冷やすシンプルな構造です。一人暮らし向けの小型冷蔵庫や、2ドアタイプの冷蔵庫によく見られます。
ファン式は自動霜取り機能があるため比較的霜が付きにくいですが、直冷式は霜が直接冷却器に付着しやすく、分厚い氷の塊になりやすい傾向があります。
そのため、直冷式の冷蔵庫はファン式よりも霜取りに時間がかかる可能性が高いです。
どちらのタイプであっても「最低16時間」という目安は必ず守るべきですが、もしご自宅の冷蔵庫が直冷式(特に霜が目視できる場合)は、より時間に余裕を持って24時間前には電源を切ることを強くおすすめします。
引っ越し前日までに必ず終わらせたい冷蔵庫の準備手順をステップで解説します
冷蔵庫の電源を切るべきベストなタイミングが分かったら、次はその前段階の準備に計画的に取り掛かりましょう。
いきなりコンセントを抜いて慌てるのではなく、正しい手順を踏むことが、スムーズな引っ越し成功への鍵となります。
ここでは、引っ越し前日までに必ず済ませておきたい冷蔵庫の準備を、誰でも簡単に真似できる具体的な4つのステップに分けてご紹介します。
この準備をしっかり行うことで、大切な食材を無駄にすることなく、ストレスフリーで電源オフ作業へと移行できます。
- ステップ1:まずは冷蔵庫の中身を空にする計画を立てること
引っ越し日が決まったら、その1週間ほど前から、冷蔵庫の中身を計画的に減らしていくことを意識し始めましょう。具体的には、新しい食材の購入を極力控え、今あるものを優先的に消費していく「冷蔵庫お掃除キャンペーン」を自分の中で開催するのです。
例えば、残っている野菜やお肉、半端な食材をすべて使って、カレーやシチュー、具沢山の野菜炒め、ポトフなど、一度にたくさん消費できるメニューを作るのがおすすめです。
冷凍庫の食品も忘れずに、賞味期限をチェックしながら計画的に使い切ることで、食品ロスを防ぎ、当日の生ゴミを減らし、さらには引っ越しの荷物を減らすことにも繋がるという、まさに一石三鳥の素晴らしい準備です。
- ステップ2:クーラーボックスの準備や食材の処分方法の具体例
計画的に消費しても、どうしても使い切れなかった調味料や冷凍食品などが出てくるはずです。それらを新居に持っていく場合は、クーラーボックスと保冷剤を必ず準備しましょう。
もし専用のクーラーボックスがなければ、スーパーマーケットなどで手に入る発泡スチロールの箱でも十分に代用できます。
保冷剤を多めに入れておけば、半日程度の移動であれば品質を保ったまま運ぶことが可能です。
一方、処分する場合は、基本的に生ゴミとして捨てることになりますが、冷凍食品などは解凍すると水分が出て悪臭や水漏れの原因になるため、新聞紙やキッチンペーパーにしっかりと包んでからゴミ袋に入れるなど、水漏れ対策を忘れずに行いましょう。
- ステップ3:製氷機能を停止させて氷をすべて取り出しておくこと
これは本当に忘れがちなのですが、非常に重要なポイントです。自動製氷機能が付いている冷蔵庫の場合、電源を切る前日、遅くとも電源を切る数時間前には、必ず製氷機能をオフにしてください。
これを忘れると、あなたの知らないうちに新しい氷が延々と作られてしまい、いざ電源を切った時に大量の氷を処理しなくてはならない…という手間が発生します。
製氷機能を停止させたら、貯氷ケースに入っている氷をすべて取り出して処分しましょう。
この氷も霜と同様に、溶けると水漏れの原因になるため、早めに処理しておくことが肝心です。
- ステップ4:いよいよ冷蔵庫の電源プラグをコンセントから抜く
冷蔵庫の中が空っぽになり、製氷機の氷もなくなったら、いよいよ冷蔵庫の電源を止める作業です。冷蔵庫の裏側にある電源プラグを、コンセントからゆっくりと、まっすぐ引き抜きます。
この時、コード部分を強く引っ張るのではなく、必ずプラグ本体を持つようにしてください。
コードを無理に引っ張ると内部で断線してしまい、思わぬ故障や火災の原因につながる可能性があり非常に危険です。
これで、引っ越しの山場である「霜取り」と「水抜き」の準備が整いました。
冷蔵庫の電源を切った後に絶対やるべき霜取りと水抜きの詳しい方法
電源プラグを抜いただけでは、冷蔵庫の引っ越し準備はまだ半分も終わっていません。
ここからが本番とも言える、最も重要な「霜取り」と「水抜き」の作業が待っています。
この工程を面倒だからと怠ってしまうと、運搬中に冷蔵庫が水浸しになるリスクが飛躍的に高まります。
あなたの新しい門出をトラブルで汚さないためにも、安全に冷蔵庫を運ぶために不可欠な、霜取りと水抜きの具体的な方法と注意点を詳しく解説していきます。
自然解凍が基本で霜取りを急いでドライヤーなどを使う危険性
霜が溶けるのを待つのは時間がかかりますが、早く溶かしたいからといって、ドライヤーの熱風を当てたり、アイスピックやヘラのような硬いもので無理に霜を剥がそうとしたりするのは絶対にやめてください。
冷蔵庫の庫内の壁はデリケートなプラスチック素材でできており、急激な温度変化や強い衝撃によって、簡単にひび割れや破損を引き起こす可能性があります。
特に危険なのが、冷却パイプを傷つけてしまうことです。
このパイプに穴が開くと、内部を循環している冷却ガスが漏れてしまい、修理不可能な致命的な故障につながります。
霜取りは、冷蔵庫のドアを少し開けたまま、室温でじっくりと時間をかけて自然に溶かすのが、唯一の安全で正しい方法です。
溶けた水を受け止めるためのタオルやトレイの準備は忘れずに
霜が溶けると、当然ながら大量の水滴となって庫内を流れ落ちてきます。
この溶け出した水が冷蔵庫の外、特に床にこぼれてフローリングを傷めてしまわないように、事前の対策が非常に重要です。
- 冷蔵庫の内部、特に一番下の段や野菜室に、吸水性の高い古いバスタオルや雑巾を数枚、隙間なく敷き詰めておきましょう。
- さらに、冷蔵庫の手前の床にもタオルやレジャーシートを敷いておくと、万が一水が溢れても安心です。
- 霜の量が多いと予想される場合は、水を受けるための浅いトレイやバットを庫内に置いておくのも非常に効果的な方法です。
冷蔵庫の底にある蒸発皿の水を捨てる水抜きの具体的な手順
霜取りと並行して必ず行わなければならないのが「水抜き」です。
多くの冷蔵庫には、本体の背面下部や底面のカバー内部に「蒸発皿(じょうはつざら)」または「水受けトレイ」と呼ばれる部品が設置されています。
これは、通常運転時に発生する結露水などを一時的に溜めて、コンプレッサーの熱で自然に蒸発させるための皿です。
電源を切った後は、この皿に水が溜まったままになっていることが多いため、必ずその存在を確認し、溜まっている水を捨ててください。
冷蔵庫の機種によっては、背面パネルをドライバーで外さないとアクセスできない場合もあるため、事前に取扱説明書で場所と外し方を確認しておくと当日の作業が非常にスムーズです。
水抜きが終わったら冷蔵庫の内部と外部をきれいに掃除しよう
霜が完全に溶けてなくなり、蒸発皿の水抜きも終わったら、最後に冷蔵庫全体をピカピカに掃除しましょう。
中性洗剤を薄めたぬるま湯に布を浸して固く絞り、庫内の棚や壁、ドアポケットなどを丁寧に拭き上げていきます。
特に、調味料の液だれや食品の細かいカスが残っていると、運搬中にカビや悪臭が発生する原因になります。
庫内の掃除が終わったら、手垢が付きやすい外側や、汚れが溜まりやすいドアのゴムパッキンの溝なども忘れずに拭きましょう。
新居で気持ちよく新生活をスタートさせるためにも、このタイミングで徹底的に清掃しておくことを心からおすすめします。
引っ越し当日の冷蔵庫の運び出しで業者と確認すべき重要ポイント
いよいよ引っ越し当日。
自分で運ぶ場合も、プロの業者に依頼する場合も、冷蔵庫の運び出しには安全を確保するためのいくつかの重要なポイントがあります。
安全に、そして確実に新居まで大切な冷蔵庫を届けるために、当日の作業で注意すべきことや、引っ越し業者と事前に確認しておくべき項目について詳しく解説します。
ほんの少しの気配りと確認作業で、高価な冷蔵庫を予期せぬトラブルから守ることができます。
運搬中にドアが開かないように養生テープでしっかり固定する
冷蔵庫を運搬する際のトラックの振動や、階段での傾きによって、不意にドアが開いてしまうことがあります。
ドアが開くと、通路の壁や他の家具にぶつかって傷をつけてしまったり、最悪の場合はドアの蝶番(ちょうつがい)が破損して外れてしまったりする危険性があります。
これを防ぐために、冷蔵庫のドアと本体を、粘着力が弱く剥がしやすい養生テープやマスキングテープで数カ所、しっかりと固定しましょう。
ガムテープや布テープのような粘着力が強いテープは、剥がす際に塗装が剥げたり、ベタベタした粘着剤が残ったりする可能性があるので絶対に使用を避けるのが賢明です。
コンセントのコードやアース線もまとめてテープで固定しておく
冷蔵庫の背面からは、電源コードと、機種によってはアース線が伸びています。
これらが垂れ下がったままだと、運搬中に作業員が踏んでしまったり、何かに引っかかってコードの根元を傷めたり断線させたりする恐れがあります。
電源コードはきれいに束ねて、アース線と一緒に冷蔵庫の背面に、これも養生テープで貼り付けて固定しておきましょう。
この一手間が、運搬中の安全性を大きく高めてくれます。
冷蔵庫は縦置きで運ぶのが鉄則でその理由を分かりやすく説明
冷蔵庫は、どのような状況であっても、必ず「立てた状態」で運ぶのが絶対的な鉄則です。
トラックに積むスペースがないからといって、絶対に横向きに寝かせて運んではいけません。
その理由は、冷蔵庫の心臓部である「コンプレッサー(圧縮機)」という部品の中に、冷却システム全体を循環させるための特殊なオイルが入っているからです。
冷蔵庫を横に倒すと、このオイルが本来あるべき場所から冷却システムの細い配管内に流れ込んでしまい、配管詰まりを引き起こして故障の直接的な原因となります。
プロの引っ越し業者、例えばサカイ引越センターやアート引越センターなどの専門家はこの原則を当然守りますが、もし友人や家族の手を借りて自分で運ぶ際は、この「縦置き運搬」を特に強く意識してください。
万が一の故障に備えて運搬時の補償内容を業者に確認する
どれだけ信頼できるプロの引っ越し業者に依頼する場合でも、万が一の事故が起こる可能性はゼロではありません。
運搬中に冷蔵庫が故障してしまった場合に、どのような補償が受けられるのかを契約前に必ず確認しておくことが非常に重要です。
契約時の約款に詳細が記載されているはずですが、口頭でも担当者に直接「冷蔵庫のような大型家電が運搬中に故障した場合の補償はどのようになっていますか?」と質問しておくと、より確実で安心です。
確認しておくべき主なポイントは以下の通りです。
- 補償の対象となる範囲(外装の傷、機能的な故障など)
- 補償される金額の上限
- 万が一の事故発生時の連絡先と手続きの流れ
これらを事前に把握しておくことで、いざという時に冷静に対応できます。
もし冷蔵庫の電源を切るのを忘れてしまった場合の対処法とは
どんなに綿密に計画を立てていても、「うっかり電源を切り忘れた!」というヒューマンエラーは誰にでも起こりえます。
引っ越し当日の朝、冷蔵庫がまだ「ブーン」と音を立てて動いていることに気づいた時の焦りは、想像を絶するものです。
しかし、パニックになる必要はありません。
ここでは、万が一電源を切り忘れてしまったという絶望的な状況に陥った場合に、どのように対処すれば良いのか、具体的な方法をご紹介します。
引っ越し業者に電源を切り忘れたことを正直に申告する
まず一番に、そして最優先でやるべきことは、現場に到着した引っ越し業者の責任者に、正直に「大変申し訳ないのですが、冷蔵庫の電源を切り忘れてしまいました」と申告することです。
気まずいからといって隠していても、霜が残っている状態や水抜きの有無は、毎日冷蔵庫を運んでいるプロが見れば一目瞭然です。
正直に伝えることで、業者の人も状況を正確に把握し、水漏れリスクを考慮した上での最善の対処法を一緒に考えてくれます。
隠したまま運んでもらい、結果的に他の荷物を濡らしてしまうことこそが最悪の事態です。
追加料金を払って業者に水抜きや清掃を依頼できるか確認する
引っ越し業者によっては、オプションサービスとして、当日の急な水抜きや簡易的な清掃作業に対応してくれる場合があります。
もちろん追加料金が発生することがほとんどですが、その場でプロに迅速に対応してもらえるのであれば、非常に心強い選択肢です。
ただし、全ての業者が対応可能なサービスというわけではなく、当日の作業スケジュールによっては断られることもあります。
まずは「電源を切り忘れたのですが、こちらで水抜き作業などをお願いすることは可能でしょうか?また、料金はいくらかかりますか?」と、正直に相談してみましょう。
最悪の場合運んでもらえないリスクと自分で運ぶ場合の注意点
電源を切り忘れて霜取りが全くできていない、水漏れの危険性が極めて高い状態だと、引っ越し業者の判断で「この状態では他の荷物に被害が及ぶため運べません」と運搬を断られてしまう可能性があります。
これは、あなたの他の荷物や、トラックに同乗する他のお客様の荷物を守るための、業者としては当然の措置です。
もし運搬を断られてしまった場合は、その冷蔵庫は自分で運ぶか、別の専門業者を手配するか、最悪の場合は処分を検討するしかありません。
自分で運ぶ際は、大量のバスタオルで冷蔵庫下部を厳重に包み、軽トラックなどをレンタルして、絶対に横にせず、他の荷物とは完全に別に運ぶ必要があります。
次回の引っ越しで失敗しないためのリマインダー設定のすすめ
今回の「うっかり」という痛い失敗を二度と繰り返さないために、次回の引っ越しに備えて具体的な対策を立てておきましょう。
最も効果的なのは、スマートフォンのカレンダーアプリやリマインダーアプリを活用することです。
「引っ越し3日前に冷蔵庫の食材整理を開始」「引っ越し前々日の夜に製氷機停止」「引っ越し前日の18時に冷蔵庫の電源オフ」といった具体的なタスクを、通知設定付きで複数登録しておくのが非常におすすめです。
また、手帳や壁掛けカレンダーなど、普段から目にする場所に大きく書き込んでおくのも、原始的ですが確実な方法です。
新居に到着して冷蔵庫を設置する際の正しい手順と注意点
無事に新居へ冷蔵庫を運び終えたら、いよいよ設置作業です。
しかし、ただ適当な場所に置いてコンセントをさせば良いというわけではありません。
正しい場所に、正しい方法で設置することが、冷蔵庫の性能を最大限に引き出し、電気代を節約し、そして長く安全に使い続けるための重要な秘訣となります。
ここでは、新居での冷蔵庫設置における、見落としがちな重要な手順と注意点を詳しく解説します。
まずは冷蔵庫を設置するスペースの確保と周辺の掃除から
冷蔵庫という大きなものを運び込む前に、まずは設置予定の場所をきれいに掃除しておきましょう。
床にホコリやゴミが残っていると、重い冷蔵庫の脚で引きずってしまい、新居の床をいきなり傷つけてしまう原因になります。
また、設置スペースの寸法(幅・奥行き・高さ)をメジャーで改めて正確に確認し、冷蔵庫が問題なく収まるか、ドアを全開にした時に壁や他の家具にぶつからないかもチェックしておきましょう。
放熱スペースを考えて壁から適切な距離をあけて設置する
冷蔵庫は、運転中に発生する熱を本体の側面や背面、上部から外部に放出する(放熱する)ことで庫内を冷やしています。
そのため、壁にぴったりとくっつけて設置してしまうと、熱がこもってしまい冷却効率が著しく低下します。
その結果、コンプレッサーが余計に働き続けて電気代が高くなったり、最悪の場合はオーバーヒートして故障の原因になったりします。
多くの冷蔵庫では、上部と左右の側面に数センチ程度の放熱スペースが必要です。
具体的な推奨距離は必ず取扱説明書に記載されているので、それを確認し、壁や食器棚から適切な距離をあけて設置してください。
冷蔵庫がガタつかないように調節脚で水平にしっかり固定する
冷蔵庫が少しでもガタついた状態で設置されていると、コンプレッサーが作動する際の「ブーン」という運転中の振動音が大きくなる原因になります。
また、本体が傾いているとドアがきちんと閉まらなくなり、隙間から冷気が漏れて電気代の無駄遣いに繋がることもあります。
ほとんどの冷蔵庫には、本体の前面下部に、手で回して高さを微調整できる「調節脚」が付いています。
これを回して、冷蔵庫が床にしっかりと固定され、ガタつきがなく水平になるように設置しましょう。
スマートフォンの水準器アプリなどを使うと、誰でも簡単に水平を確認できて非常に便利です。
アース線を正しく接続して感電や漏電のリスクを防ぐ方法
冷蔵庫の設置場所近くにあるコンセントに、緑色のカバーが付いた「アース端子」がある場合は、必ずアース線を接続してください。
アース線は、万が一冷蔵庫が内部で漏電(電気が外に漏れること)した際に、その電気を安全に地面に逃がして、人が触っても感電するのを防ぐための非常に重要な安全装置です。
接続はとても簡単で、アース端子のカバーを開け、中のネジを少し緩めてアース線の先端(Y字の金具)を挟み込み、再びネジをしっかりと締めるだけです。
もし設置場所にアース端子がない場合は、お近くの電気工事店に相談して増設してもらうことを検討しましょう。
引っ越し先で冷蔵庫の電源を入れる最適なタイミングは何時間後か
冷蔵庫の設置が無事に完了すると、すぐにでも電源を入れて、クーラーボックスで運んできた食材を冷やしたくなりますが、ここで焦ってはいけません。
運搬後の冷蔵庫は、すぐに電源を入れると故障のリスクが高まるため、少し「休憩」させてあげる必要があります。
ここでは、新居で冷蔵庫の電源を入れるべき最適なタイミングと、なぜ待つ必要があるのか、その科学的な理由を分かりやすく解説します。
設置後すぐに電源を入れるのはNGで最低でも1時間以上待つ理由
引っ越し業者や家電の専門家は、冷蔵庫を新居に設置してから電源を入れるまで、最低でも1時間、できれば数時間待つことを強く推奨しています。
その理由は、運搬中の振動や傾きによって、冷蔵庫の心臓部であるコンプレッサー内にある冷却オイルが、本来の位置からずれて冷却回路内に流れ込んでしまっている可能性があるからです。
この状態でいきなり電源を入れてしまうと、オイルが正常な位置に戻らないままコンプレッサーが無理に作動し、冷却システムが詰まって冷却不良や致命的な故障の直接的な原因となります。
冷蔵庫内部の冷却オイルを安定させるために必要な待ち時間
冷蔵庫を設置してから電源を入れずに待つ時間は、コーラを振った後に炭酸が落ち着くのを待つのと同じで、冷却オイルが重力によってコンプレッサー内の正しい位置へとゆっくりと戻るのを待つための大切な「安定時間」です。
たとえプロが縦置きで慎重に運んだとしても、トラックの走行や台車での移動による多少の揺れは避けられません。
そのため、この安定時間は必ず設けるべきです。
一般的には1時間以上とされていますが、もし運搬中に大きく揺れたり、階段の踊り場などで少しでも傾けたりした自覚がある場合は、念のため3時間から6時間ほど待つと、より安心です。
急いで電源を入れると故障の原因になりやすいので絶対に避ける
「少しくらい大丈夫だろう」と焦って電源を入れてしまうその気持ちは痛いほど分かりますが、それが原因で何年も使うはずだった高価な冷蔵庫が壊れてしまっては元も子もありません。
冷蔵庫の故障は修理費用も数万円と高額になりがちですし、買い替えとなれば十数万円の大きな出費です。
輝かしい新生活を気持ちよくスタートさせるためにも、逸る気持ちをぐっと抑えて、必ず十分な待ち時間を確保してください。
その間に他の段ボールの荷解きなど、やるべき作業を先に進めていれば、待ち時間はあっという間に過ぎるはずです。
引っ越し業者から指示があった場合はその時間に従うのが確実
冷蔵庫を設置してくれた引っ越し業者のスタッフから、「電源は〇時間後に入れてくださいね」といった具体的な指示があった場合は、その指示に従うのが最も確実で安全です。
彼らは毎日たくさんの冷蔵庫を取り扱っているプロであり、その機種の特性や当日の運搬状況を考慮した上で、最適な待ち時間を的確にアドバイスしてくれます。
例えば、日立やパナソニックといったメーカーごとの細かな特性も把握している場合がありますので、専門家であるプロの指示を最優先に考えましょう。
冷蔵庫の電源を入れてから食材を入れるまでにしておくべきこと
十分な待ち時間を経て、いよいよ冷蔵庫の電源プラグをコンセントに差し込みます。
しかし、電源を入れたからといって、すぐにクーラーボックスの中の食材を詰め込めるわけではありません。
空っぽの冷蔵庫の庫内が、食品を安全に保存できる温度まで十分に冷えるまでには、さらに時間が必要です。
ここでは、電源をオンにしてから、安心して食材を入れられるようになるまでの時間の目安や、注意点について解説します。
電源を入れてから冷蔵庫内が十分に冷えるまでにかかる時間
冷蔵庫の電源を入れてから、庫内が食品を保存するのに適した温度(冷蔵室で約2〜6℃、冷凍室で約-18℃)までしっかりと冷えるには、一般的に最低でも4時間から5時間程度かかると覚えておきましょう。
比較的新しいモデルや、設定温度によってはもう少し早い場合もありますが、基本的にはこのくらいの時間を見込んでおくのが安全です。
完全に冷え切る前に常温の食材を大量に入れると、食材が傷む原因になるだけでなく、冷蔵庫にも余計な冷却パワーを使わせてしまい、負担がかかってしまいます。
夏場と冬場で冷却時間が変わることを理解しておくのが大切
冷蔵庫を設置している部屋の温度、つまり周囲の気温は、冷蔵庫の冷却性能に大きく影響します。
例えば、室温が30度を超えるような真夏日では、庫内が十分に冷えるまでに半日近く、つまり10時間以上かかることも想定しておくべきです。
一方で、室温が低い冬場であれば、4時間程度で設定温度までしっかり冷えることもあります。
このように、季節によって冷却時間が大きく変動することをあらかじめ理解し、特に夏場の引っ越しでは、焦らずにじっくりと待つことが重要です。
メーカーや機種によって推奨時間が違うので取扱説明書を確認する
冷却にかかる時間は、三菱電機、シャープ、東芝など、メーカーや冷蔵庫のモデルによっても微妙に異なります。
最新の高性能なモデルでは、冷却時間を短縮する「急冷モード」などが搭載されている場合もあります。
最も確実な情報を得るためには、お手元にある取扱説明書を確認するのが一番です。
取扱説明書には、初回設置時や電源再投入時の冷却時間の目安が必ず記載されているはずですので、それに従うようにしましょう。
もし取扱説明書を紛失してしまった場合は、メーカーの公式サイトで冷蔵庫の型番(ドアの内側にシールで貼られていることが多い)を検索すれば、電子版のPDFを閲覧できることがほとんどです。
完全に冷え切る前に食材を入れると食中毒のリスクが高まる
生鮮食品、特に肉や魚、お惣菜、乳製品などは、適切な低温で管理されていないと、ウェルシュ菌などの食中毒を引き起こす細菌が急速に繁殖しやすくなります。
まだ十分に冷えていない、いわば「ぬるい」状態の冷蔵庫にこれらの食材を入れることは、自ら食中毒のリスクを高める非常に危険な行為です。
クーラーボックスで運んできた大切な食材は、冷蔵庫が完全に冷え切ったことを確認してから移すようにしてください。
庫内が十分に冷えたかどうかは、冷凍室の製氷皿に水を入れてみて、しっかりと氷ができるかどうかで確認するのが確実な方法です。
引っ越しを機に考えたい最新冷蔵庫への買い替えという選択肢
引っ越しは、大きな家具や家電を移動させる骨の折れる作業であると同時に、長年使ってきた持ち物を見直し、生活をアップグレードする絶好の機会でもあります。
もし今お使いの冷蔵庫が古くなっているのであれば、このタイミングで思い切って最新モデルに買い替えるという選択肢も、実は非常に合理的で賢い判断です。
ここでは、引っ越しを機に冷蔵庫を買い替えることの、意外と知られていない大きなメリットについてご紹介します。
古い冷蔵庫は運搬のリスクも高いので買い替えのメリットとは
製造から10年以上経過しているような古い冷蔵庫は、人間と同じように内部の部品が経年劣化している可能性が高く、引っ越しの振動や衝撃が最後の引き金となって故障してしまうリスクが新品に比べて格段に高くなります。
せっかく苦労して霜取りや運搬をしたのに、新居で電源が入らない…という悲劇も決して珍しい話ではありません。
その点、買い替えであれば、そうした運搬リスクの心配は一切無用です。
新品の冷蔵庫を、ヤマダデンキやビックカメラといった家電量販店に、引っ越しの日に合わせて新居へ直接配送・設置してもらえば、面倒な手間も故障の心配も一気に解決できます。
最新の省エネ冷蔵庫にすれば電気代が大幅に節約できる可能性
冷蔵庫は家庭の中で唯一、24時間365日、休むことなく動き続ける家電なので、その電気代は家計に大きな影響を与えます。
近年の冷蔵庫は省エネ性能が飛躍的に向上しており、10年前のモデルと比較すると、年間の電気代が数千円から、多いものでは一万円以上も安くなるケースは珍しくありません。
最初に購入費用はかかりますが、長い目で見れば毎月の電気代の節約分で十分に元が取れる可能性も十分にあります。
新生活を機に、環境にもお財布にも優しい最新の省エネ冷蔵庫を検討してみてはいかがでしょうか。
家電量販店の下取りサービスやリサイクル処分の方法を調べる
新しい冷蔵庫を購入する場合、今使っている古い冷蔵庫の処分方法も考えておく必要があります。
冷蔵庫は「家電リサイクル法」の対象品目であり、粗大ゴミとして捨てることはできません。
多くの家電量販店では、新品購入と同時に、古い冷蔵庫の下取りや有料での引き取りサービスを行っています。
家電リサイクル料金と収集運搬料金(合計で5,000円~8,000円程度が目安)はかかりますが、購入と処分が一度に済むので非常に便利です。
引っ越し前に、これらの処分方法や料金を調べておくと、買い替えの計画がスムーズに進みます。
引っ越しのタイミングなら配送と設置も一度で済んで楽になる
冷蔵庫の買い替えを引っ越しのタイミングに合わせる最大のメリットは、その圧倒的な効率の良さにあります。
- 旧居から古い冷蔵庫を運び出す手間とコストが不要になる。
- 引っ越し業者に支払う冷蔵庫1点分の運搬料金も節約できる。
- 新居の入居日に合わせて新しい冷蔵庫の配送日を指定できる。
荷解きで忙しい中でも、家電配送の専門業者が希望の場所にきれいに設置までしてくれるので、これ以上なく楽でスマートな選択と言えるでしょう。
まとめ
ここまで、引っ越しにおける冷蔵庫の電源を切るタイミングから、事前準備、当日の運搬、新居での設置、そして再び電源を入れるまでの全手順について、注意点も交えながら詳しく解説してきました。
最後に、この記事の最も重要なポイントを改めて振り返り、あなたの引っ越しが成功裏に終わるよう、最終確認をしておきましょう。
冷蔵庫引っ越しの最重要ポイント
引っ越し時の冷蔵庫の電源は16時間以上前に切るのが安心
引っ越しで冷蔵庫の電源を切るタイミングは、運搬の16時間以上前、できれば24時間前が理想です。これは、庫内の霜を完全に溶かし、運搬中の水漏れトラブルを防ぐために必要な「安心のための時間」です。この基本さえ押さえておけば、引っ越し当日に慌てることはありません。
電源を切る前から設置して電源を入れるまでの一連の流れを再確認
冷蔵庫の引っ越しは、電源を切るだけでは終わりません。食材の計画的な消費、クーラーボックスの準備、霜取りと水抜き、清掃、そして運搬時の固定、新居での正しい設置、電源を入れるまでの待ち時間という一連の流れがあります。このすべてのステップを丁寧に行うことが、成功への鍵となります。
事前の準備と正しい手順で引っ越し当日のトラブルを回避しよう
引っ越しは、事前の準備、いわゆる「段取り」が成功の9割を決めます。
冷蔵庫の移動に関しても、本記事でご紹介したような正しい知識と手順を事前に理解し、計画的に行動することで、故障や水漏れといった予期せぬ最悪のトラブルを確実に回避できます。
ぜひ、この記事をあなたの「引っ越しマニュアル」として活用していただき、安心でスムーズな、素晴らしい新生活のスタートを切ってください。
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