賃貸物件からの引っ越しを控えているものの、養生のやり方がわからず不安に感じていませんか。「自分でやれば費用を抑えられる」と聞いても、どこをどうやって保護すればいいのか、どんな道具が必要なのか、具体的な手順がわからないと手が出しづらいですよね。
この記事では、そんな引っ越し初心者のあなたのために、賃貸物件で自分でできる養生の具体的なやり方を、ステップごとに徹底的に解説します。この記事を最後まで読めば、養生の全てがわかり、大切な住まいを傷つけることなく、安心して新生活をスタートさせることができます。
まずは結論から!賃貸の引っ越しで自分で養生を成功させるための最重要ポイント
時間がなくてすぐにでも養生のやり方を知りたいという方のために、まず結論からお伝えします。賃貸物件の引っ越しで自分で養生を成功させるには、いくつかの重要なポイントがあります。
これさえ押さえておけば、大きな失敗を防ぎ、効率的に作業を進めることができます。ここで紹介するポイントを頭に入れてから、具体的な手順に進んでいきましょう。
養生で自分で守るべき最優先箇所は玄関ドアと床そして搬入経路の壁の角です
賃貸の引っ越しで自分で養生を行う際、全ての場所を完璧に保護しようとすると時間も費用もかかりすぎてしまいます。最も重要なのは、家具や家電の搬出入で傷がつきやすい場所を特定し、そこを重点的に保護することです。
具体的には、最も人や荷物の出入りが激しい「玄関ドア周り」、重い荷物を引きずってしまう可能性がある「床」、そして大きな家具を運ぶ際にぶつけやすい「廊下や部屋の壁の角」の3点です。この3箇所を最優先で養生するやり方を覚えれば、引っ越しによる損傷リスクの大部分を回避することができます。
賃貸物件の引っ越し養生はホームセンターで揃う道具だけで自分で十分にできます
専門的な道具が必要なのではないかと心配になるかもしれませんが、安心してください。賃貸物件の引っ越しで自分で養生する場合、必要な道具はすべてカインズホームやコーナン、DCMカーマといった身近なホームセンターで手に入ります。
プラスチックダンボール(プラダン)、養生テープ、カッター、メジャーがあれば基本的な養生は可能です。特にアイリスオーヤマなどが販売しているプラダンは、軽くて丈夫で加工しやすいため、初心者の方には最適なアイテムです。高価な専門業者向けの資材は必要なく、数千円程度の予算で十分に揃えることができます。
養生のやり方で最も大切なのはテープ選びと隙間なく貼ることです
養生のやり方において、仕上がりの質と安全性を左右するのがテープの選び方と貼り方です。賃貸物件では、壁紙やフローリングに糊の跡が残らない「養生テープ」を必ず使用してください。
ガムテープや布テープは粘着力が強すぎて、剥がす際に壁紙ごと剥がれたり、床材を傷めたりする原因になります。日東電工の「No.395N さくら色」や寺岡製作所の「P-カットテープ」などが有名で、手で簡単に切れるため作業性も抜群です。そして、プラダンなどを床に敷く際は、つなぎ目をテープで隙間なくしっかりと固定することが重要です。隙間があると、そこから砂やホコリが入り込んで床を傷つける原因になります。
なぜ賃貸の引っ越しで自分で養生することが重要なのかその理由を解説します
面倒に思える養生ですが、なぜこれほどまでに重要視されるのでしょうか。特に賃貸物件においては、養生を怠ることで金銭的な負担や精神的なストレスに繋がる可能性があります。
ここでは、自分で養生を行うことの重要性について、3つの具体的な理由を挙げて詳しく解説していきます。この重要性を理解することで、養生作業へのモチベーションも変わってくるはずです。
退去時の原状回復義務と敷金返還に養生が大きく影響するからです
賃貸物件には「原状回復義務」というものがあります。これは、退去時に部屋を借りた時の状態に戻す義務のことですが、生活する上で自然に発生する傷や汚れ(経年劣化)まで直す必要はありません。
しかし、引っ越し作業中に床や壁につけてしまった大きな傷や凹みは「故意・過失による損傷」と見なされ、この原状回復義務に基づき、修繕費用を敷金から差し引かれたり、追加で請求されたりする原因となります。自分で丁寧に養生を行うやり方を実践することは、こうした予期せぬ出費を防ぎ、支払った敷金をできるだけ多く返還してもらうための、最も効果的な自己防衛策なのです。
引っ越し業者に頼むより自分で養生した方が費用を大幅に節約できるからです
引っ越し業者に養生を依頼すると、もちろんプロの作業で安心できますが、その分オプション料金が発生します。養生費用は物件の広さや作業範囲にもよりますが、数千円から数万円になることもあり、引っ越し全体の費用を押し上げる一因となります。
しかし、前述の通り、養生に必要な道具はホームセンターで安価に揃えることができます。自分で養生するやり方を選べば、この費用を大幅に節約することが可能です。浮いた費用を新生活の家具や家電の購入費用に充てることができるのは、大きなメリットと言えるでしょう。
賃貸物件の共用部分を傷つけてご近所トラブルになるのを防ぐためです
養生が必要なのは、自分の部屋の中だけではありません。マンションやアパートの場合、エントランスや廊下、エレベーター、階段といった「共用部分」も養生の対象となります。
これらの場所を傷つけてしまうと、管理会社や大家さんとの関係が悪化するだけでなく、他の入居者との間でトラブルに発展しかねません。「あの部屋の引っ越しで廊下の壁が傷ついた」などと噂になれば、退去の際に気まずい思いをすることになります。自分で責任をもって共用部分の養生も行うやり方を徹底することで、周囲への配慮を示し、円満な退去と、ご近所トラブルの未然防止に繋がります。
引っ越し前に知っておきたい自分で養生を始める前の確認事項と注意点
さっそく養生を始めよう、と意気込む前に、いくつか確認しておくべき大切なことがあります。事前の確認を怠ると、後から二度手間になったり、ルール違反になってしまったりする可能性があります。
ここでは、賃貸物件で自分で養生をスムーズに進めるために、作業開始前に必ずチェックしておきたいポイントを具体的に解説します。
養生前のチェックリスト
1. 賃貸契約書で「原状回復」の特約を確認
2. 引っ越し業者のプランに含まれる養生範囲を確認
3. 管理会社へ共用部分の養生ルールを確認
賃貸契約書を確認して養生の範囲やルールを事前に把握しておくやり方
まずは、入居時に交わした賃貸契約書をもう一度読み返してみましょう。契約書の中の「原状回復」や「禁止事項」「特約」といった項目に、退去時の注意事項や修繕費用の負担割合が記載されていることがあります。
特に、通常の使用を超える損傷についての定義が明記されている場合もあります。契約内容を事前に把握しておくことは、後々の「言った・言わない」のトラブルを避けるための基本中の基本のやり方です。もし不明な点があれば、管理会社や大家さんに早めに問い合わせておきましょう。
引っ越し業者のプランに養生が含まれているか事前に確認するべきです
すでに引っ越し業者を決めている場合は、契約したプランの内容を再確認してください。基本的なプランには最低限の養生が含まれていることが多いですが、その範囲は「玄関の床のみ」など、業者によって様々です。
どこまでがプラン内で、どこからがオプション料金になるのかを明確に把握し、自分で養生する範囲を決定するやり方が賢明です。電話や口頭での確認だけでなく、見積書や契約書に内容を記載してもらうと、後のトラブル防止に繋がります。
エレベーターや廊下など共用部分の養生は管理会社への確認が必須です
自分の部屋の養生は自己責任で行えますが、エレベーターや廊下などの共用部分については、必ず事前に管理会社や大家さんに連絡し、許可を取る必要があります。これは最も重要な確認事項です。
管理会社によっては、養生の方法や使用できる資材に指定があったり、そもそも管理会社側で養生ボードを貸し出してくれたりするケースもあります。無断で養生を行うと規約違反とみなされる可能性もあるため、引っ越しの日時を伝える際に、共用部分の養生はどうすればよいか、というやり方について必ず確認を取りましょう。
これさえあれば完璧!賃貸の引っ越しで自分で養生するために必要な道具一覧
自分で養生をすると決めたら、次は道具の準備です。やみくもに買い揃えるのではなく、必要なものをリストアップしてからお店に向かうと無駄がありません。
ここでは、賃貸物件の引っ越しで自分で養生するために最低限必要な基本の道具から、あると便利なアイテムまでを具体的に紹介します。これらの道具は、前述の通りカインズホームなどのホームセンターや、ダイソーなどの100円ショップで手軽に揃えることができます。
- 【必須】プラスチックダンボール(プラダン):床や壁の保護の主役。
- 【必須】養生テープ:糊が残りにくい弱粘着タイプ。布テープはNG。
- 【必須】カッターナイフ:プラダンのカットに使用。
- 【必須】メジャー:寸法を測るために必要。
- 【あると便利】ロールマット:クッション性と滑り止め効果。
- 【あると便利】軍手:手の保護と作業効率アップ。
- 【あると便利】油性ペン:プラダンにカット線を引くのに使用。
床や壁を広範囲に保護するためのプラスチックダンボール通称プラダンの選び方
養生の主役とも言えるのが、プラスチックダンボール、通称「プラダン」です。中が空洞の構造になっているため非常に軽く、それでいて丈夫で、カッターで簡単にカットできるため加工性に優れています。
床の養生に使う場合は、厚みが2.5mm〜4mm程度のものを選ぶと衝撃吸収性が高まり安心です。色は半透明や青、白などがありますが、床に敷いた際に下の状態が確認しやすく、ゴミやホコリを見つけやすい半透明タイプがおすすめです。ホームセンターでは、910mm×1820mm(畳約半畳分)のサイズが一般的で、価格も数百円程度から購入できます。
衝撃吸収と滑り止めに役立つ養生用ロールマットやブルーシートの活用法
プラダンだけでなく、他のシート類も併用するとより効果的です。例えば、裏面に滑り止め加工が施されたフェルト生地のようなロール状の養生マットは、プラダンの下に敷くことでズレを防ぎ、クッション性を高めることができます。
また、安価で手に入りやすいブルーシートは、万が一の水濡れ(観葉植物や水槽など)から床を守りたい場合や、一時的に荷物を置くスペースを確保したい場合に便利です。ただし、ブルーシートは滑りやすく、人が頻繁に通る搬入経路のメイン養生に使うのは危険なので、補助的なやり方で活用するのが良いでしょう。
跡が残らない養生テープの選び方と布テープとの違いについて解説します
養生資材を固定するために絶対に必要なのが「養生テープ」です。見た目が似ている布テープやガムテープは、強力な粘着剤が使われており、剥がす際に床のワックスや壁紙を傷める原因になるため、賃貸物件では絶対に使用しないでください。
養生テープは「糊残りしにくい」ように特別に設計されたアクリル系の弱粘着剤が使われています。緑色や白色、半透明など様々な色がありますが、剥がし忘れを防ぐためには、床や壁の色と対照的な目立つ色を選ぶのがおすすめです。手で簡単に切れるタイプの製品、例えば寺岡製作所の「P-カットテープ」などは作業効率が格段に上がります。
カッターやメジャーなど細かい作業をスムーズに進めるための便利道具
プラダンを部屋の形に合わせてカットしたり、テープをまっすぐ切りたい場面で「カッター」は必須です。作業効率を上げるため、刃はこまめに折って切れ味の良い状態を保ちましょう。また、養生する場所の寸法を正確に測るために「メジャー」も必要です。5メートル程度の長さがあれば十分です。
その他、油性ペンがあればプラダンにカットする線を引くのに便利ですし、軍手があれば手の保護と滑り止めになります。これらの小物類はダイソーやセリア、キャンドゥといった100円ショップでも十分に質の良いものが揃えられます。
自分でできる賃貸物件の床を傷から守るための養生の具体的なやり方
道具が揃ったら、いよいよ実践です。まずは、引っ越し作業で最も傷がつきやすい「床」の養生から始めましょう。重い家具を引きずったり、道具を落としたりといったアクシデントからフローリングやクッションフロアを確実に守るための、具体的な手順をステップバイステップで解説します。
このやり方をマスターすれば、安心して荷物の搬出入ができます。
- STEP1:掃除 – 床と養生シートの間にゴミが残らないように徹底的に掃除する。
- STEP2:敷き詰め – 搬入経路にプラダンを隙間なく敷き詰める。
- STEP3:固定 – プラダンのつなぎ目を養生テープでしっかり固定する。
まずは床のホコリやゴミを掃除機でしっかり取り除くことが基本のやり方です
養生シートを敷く前に、必ず床全体を綺麗に掃除してください。これを怠ると、床と養生シートの間に残った小さな砂やゴミが、人が上を歩くたびにヤスリのように床を傷つけてしまう原因になります。これは「サンドペーパー現象」とも呼ばれ、養生したつもりが逆に傷を増やす最悪の事態を招きます。
まずは掃除機で全体のホコリやゴミを吸い取り、その後、固く絞った雑巾やフローリングワイパーで水拭きをしておくと完璧です。床が完全に乾いてから、次のステップに進むのが基本のやり方です。
玄関からリビングまでの搬入経路にプラスチックダンボールを敷き詰めるやり方
掃除が終わったら、いよいよプラダンを敷いていきます。ポイントは、玄関のたたきから、荷物を運び出す部屋までの搬入・搬出経路を完全に覆うように敷き詰めることです。
まずは一枚ずつプラダンを床に置いていき、部屋の角や柱の形に合わせてカッターでカットしながら調整します。壁際には数ミリの隙間があっても問題ありませんが、プラダン同士のつなぎ目は、できるだけ隙間ができないようにぴったりと合わせて配置するのが、傷を防ぐための重要なやり方です。
プラスチックダンボールのつなぎ目を養生テープで隙間なく固定するやり方
敷き詰めたプラダンが作業中にずれないように、養生テープでしっかりと固定します。まず、プラダンの外周をぐるりと床に直接テープで固定します。このとき、テープをベタベタと貼りすぎず、50cm間隔くらいで点々と留めるのがコツです。
次に、プラダン同士のつなぎ目を、上からテープで一直線に貼って完全に塞ぎます。これにより、つなぎ目からのゴミの侵入を防ぎ、プラダンが一体化してズレにくくなります。このひと手間を惜しまないやり方が、養生のクオリティを大きく左右します。
賃貸物件の壁や柱の角を保護する自分でできる養生のやり方ステップ
床の養生が終わったら、次に見落としがちですが非常に重要な「壁」の養生に移ります。特に、廊下の角や部屋の出っ張った柱などは、タンスや冷蔵庫などの大きな家具を運ぶ際にぶつけてしまいがちです。
壁紙が破れたり、石膏ボードがへこんだりすると修繕費用も高額になります。ここでは、壁の角を効果的に保護するための、自分でできる簡単な養生のやり方を紹介します。
荷物がぶつかりやすい壁の角や出っ張りを重点的に保護する重要性
部屋の中をよく見渡してみてください。廊下の曲がり角、クローゼットの出入り口の角、リビングの柱など、荷物を持って移動する際に身体や荷物が接触しやすい「角」や「出隅(ですみ)」がいくつかあるはずです。
これらの角は、平面の壁よりもはるかに損傷のリスクが高い場所です。全ての壁を養生する必要はありませんが、こうした「危険な角」を特定し、そこをピンポイントで保護するやり方が、効率的かつ効果的な壁養生のコツです。
プラスチックダンボールをカッターで折り曲げて角専用のカバーを作るやり方
壁の角を保護するには、プラダンが非常に役立ちます。まず、保護したい角の高さに合わせてプラダンをカットします。幅は20cm程度あれば十分です。
次に、カットしたプラダンの真ん中に、カッターで裏側まで貫通しないように浅い切り込みを入れます。プラダンの筋に沿って切ると、より綺麗に折れます。この自作のコーナーガードを、保護したい壁の角にぴったりと当てがうのが基本的なやり方です。
壁紙を傷つけないように養生テープを貼る際の注意点と上手な剥がし方
作成したコーナーガードを壁に固定する際は、養生テープの使い方に細心の注意が必要です。特にデリケートなビニールクロスなどの壁紙は、養生テープであっても長時間貼っておくと剥がす際に表面を傷める可能性があります。
テープは壁紙に直接貼る面積を最小限にするため、コーナーガードの上下の端にだけ貼るのがおすすめです。さらに丁寧に行うなら、一度マスキングテープを壁に貼り、その上から養生テープを貼るという二重の対策も有効です。剥がす際は、壁に対して鋭角に、ゆっくりと引っ張るようにすると、壁紙への負担を減らすことができます。
見落としがちな玄関ドアやドアノブを自分で守るための養生のやり方
床と壁の角の養生が完了し、一安心しているかもしれませんが、まだ重要な箇所が残っています。それは、荷物の搬出入で必ず通過する「玄関ドア」と、マンションなどの「共用部分」です。
これらの場所は意外と見落とされがちですが、傷つけてしまうと厄介な問題に発展することもあります。ここでは、最後まで気を抜かずに完璧な養生を仕上げるためのやり方を解説します。
引っ越し作業で最も開閉が多く傷つきやすい玄関ドアの養生は必須です
玄関ドアは、引っ越し作業中に最も頻繁に開け閉めされ、大きな荷物が通過する場所です。そのため、擦り傷や打痕がつきやすい非常にリスクの高い箇所と言えます。
特に賃貸物件の場合、玄関ドアは共用部分と見なされることも多く、傷をつけると自室の修繕費よりも高額な請求に繋がる可能性があります。自分で養生する際は、最後の砦として玄関ドアの保護を忘れないようにするやり方を徹底しましょう。
ドア全体をプチプチやプラダンで覆いドアノブも保護する具体的なやり方
玄関ドアの養生には、ホームセンターなどで手に入るロール状の緩衝材、通称「プチプチ(エアキャップ)」が便利です。ドアのサイズに合わせてカットしたプチプチをドア全体に被せ、養生テープで数カ所を固定します。
ドアノブや郵便受け、ドアスコープなどの突起物は、テープで塞がないように注意してください。ドアノブ自体も傷がつきやすいので、タオルや軍手を巻きつけてテープで留めるなど、簡単なやり方で保護しておくとより安心です。
賃貸マンションの共用部分であるエレベーター内の養生のやり方と注意点
マンションにエレベーターがある場合、その内部の養生も非常に重要です。事前に管理会社に確認し、許可を得た上で作業を行いましょう。
管理会社によっては専用の養生パネルを貸し出してくれることもあります。自分でやる場合は、エレベーターの壁をプラダンや養生ボードで保護します。特に操作盤の周りは、荷物がぶつからないよう特に注意が必要です。エレベーターの床にもプラダンを敷き、テープで固定します。作業後は速やかに撤去し、他の住民の迷惑にならないように配慮するやり方が大切です。
自分で養生する時間がない人向けに引っ越し業者に依頼する場合のポイント
ここまで自分で養生するやり方を紹介してきましたが、仕事が忙しくてどうしても時間が取れない、あるいは不器用で自信がないという方もいらっしゃるでしょう。
そんな時は、無理せずプロである引っ越し業者に依頼するのも一つの賢い選択です。ここでは、業者に養生を依頼する場合に、後悔しないためのポイントや確認すべき事項を解説します。
引っ越し業者の養生サービスの内容と料金相場を事前に確認するやり方
引っ越し業者に養生を依頼する場合、まずはそのサービス内容と料金体系を詳しく確認することが重要です。
具体的には、以下の点を確認しましょう。
- 基本プランに含まれる養生の範囲はどこまでか?(例:床、壁、エレベーターなど)
- オプションになる養生はどれか?
- オプション料金はいくらか?
- 万が一傷がついた場合の補償内容は?
業者によって標準サービスの範囲は大きく異なるため、口頭での確認だけでなく、見積書に内容を明記してもらうやり方が確実です。
複数の引っ越し業者から見積もりを取ってサービス内容を比較検討する重要性
引っ越し業者を選ぶ際は、必ず一社だけでなく複数の業者から見積もりを取りましょう。これは「相見積もり」と呼ばれ、料金だけでなくサービス内容を比較検討するために非常に有効です。
大手の業者から地域密着型の業者まで、ウェブサイトの「引越し侍」や「SUUMO引越し見積もり」といった一括見積もりサービスを利用すると便利です。各社の養生サービスの質や範囲、料金を比較し、最も自分の希望に合った業者を選ぶやり方が、満足のいく引っ越しに繋がります。
自分でやる部分と業者に任せる部分を分けるハイブリッドなやり方もおすすめです
全ての養生を業者に任せるのではなく、費用を抑えるために「自分でできる部分」と「プロに任せたい部分」を分けるハイブリッドなやり方もおすすめです。
例えば、比較的簡単な室内の床の養生は自分で行い、難易度の高いエレベーターや複雑な形状の廊下の壁の養生だけを業者に依頼するといった方法です。これにより、費用を節約しつつ、不安な箇所はプロに任せるという安心感も得られます。見積もりの際に、そうした分担が可能か相談してみましょう。
賃貸の引っ越し養生でよくある失敗事例とそれを避けるための対策
完璧に準備したつもりでも、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。ここでは、賃貸物件の引っ越しで自分で養生を行った際によくある失敗事例をいくつか紹介します。
先人たちの失敗から学ぶことで、同じ過ちを繰り返すのを防ぐことができます。これらの事例を反面教師として、より確実な養生のやり方を身につけましょう。
養生テープの跡が壁紙や床に残ってしまい修繕費を請求された失敗談
最もよくある失敗が、テープ選びの間違いや貼りっぱなしによるトラブルです。安価だからといって布テープやガムテープを使ってしまうと、剥がす際に粘着剤が床や壁紙に残り、ベタベタになってしまいます。
このベタつきは簡単には取れず、最悪の場合は壁紙の張り替えやフローリングの補修が必要になり、高額な修繕費を請求されるケースがあります。必ず「糊残りしにくい」と明記された建築用の養生テープを使用し、引っ越しが終わったら速やかに剥がすことを徹底してください。
養生が不十分で家具を搬入中に壁に穴を開けてしまったトラブル事例
床の養生はしっかりしたものの、壁の養生を怠ったために起きてしまう失敗です。特に大型の冷蔵庫や本棚などを狭い廊下で方向転換する際に、角にぶつけてしまい壁に穴を開けてしまうケースは後を絶ちません。
石膏ボードの壁は意外と脆く、少しの衝撃でへこんだり穴が開いたりします。「このくらい大丈夫だろう」という油断が大きな出費に繋がります。面倒でも、搬入経路にある壁の角だけは、プラダンなどで作ったコーナーガードで保護するやり方を実践することが不可欠です。
養生した資材の処分方法を考えておらず引っ越し後に困ってしまったケース
引っ越しが無事に終わり、養生資材を剥がした後に直面するのが「ゴミの問題」です。使用した大量のプラダンやテープをどう処分すればよいか考えておらず、新居にそのまま持ち込んでしまい途方に暮れる、という失敗談です。
プラダンは多くの自治体で粗大ゴミや事業ゴミ扱いとなり、通常の家庭ゴミとして出せない場合があります。事前に、引っ越し元の自治体のゴミ分別のルールを確認し、処分方法を計画しておくやり方が重要です。場合によっては引っ越し業者に有料で引き取ってもらえないか相談するのも一つの手です。
賃貸の引っ越しで自分で養生するやり方をマスターして安心して新生活を始めよう
ここまで、賃貸物件の引っ越しで自分で養生する具体的なやり方について、準備から実践、注意点まで詳しく解説してきました。最初は難しそうに感じたかもしれませんが、ポイントを押さえれば誰でも確実に実行できることがお分かりいただけたかと思います。
最後に、この記事の要点を振り返り、あなたの新生活への第一歩を応援します。
今回解説した賃貸物件で自分でできる養生のやり方の重要ポイントの再確認
賃貸の引っ越しで自分で養生を成功させる鍵は、「重点箇所の特定」「正しい道具選び」「丁寧な作業」の3つです。
養生成功の3か条
守るべきは床、壁の角、玄関ドア。
使うべきはプラダンと養生テープ。
作業前の掃除と、つなぎ目をしっかり塞ぐ丁寧なテープ貼りを実践するやり方。
これらの基本を守るだけで、養生の質は格段に向上し、引っ越しに伴うリスクを大幅に減らすことができます。
事前の準備と正しいやり方を実践すれば引っ越しの養生は自分でできます
この記事で紹介したステップ通りに進めれば、引っ越しの養生は決して難しい作業ではありません。むしろ、自分で自分の大切な住まいを守るという、やりがいのある作業です。
賃貸契約書や管理会社への事前確認をしっかり行い、ホームセンターで適切な道具を揃え、一つ一つの工程を丁寧に行う。この正しいやり方を実践することで、初心者の方でもプロに近いレベルの養生を自分で施すことが可能です。
丁寧な養生は自分の財産と新しい生活を気持ちよくスタートさせるための第一歩です
丁寧な養生は、単に床や壁を傷から守るだけの作業ではありません。それは、退去時の余計な出費を防いで自分の財産である敷金を守る行為であり、旧居の大家さんや管理会社、そして新居のご近所さんへの配慮を示す行為でもあります。
気持ちの良い退去は、素晴らしい新生活のスタートに繋がります。この記事で紹介したやり方を参考に、ぜひ万全の準備で引っ越しに臨み、最高の新生活をスタートさせてください。
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